アリス人形
デジャヴかな。前にも似たようなことが…。

亜里珠は硬直したまま動けないでいた。

──ズキッ

「──っ!」

右の手の甲に激しい痛みを覚え、見ると血が溢れだしている。

ああ、ハリネズミの時に…、
傷が開いちゃったみたい。

「……。」

背中を嫌な汗が流れ落ち、ぶるっと肩が震えた。


そういえば昔、「知らない人にはついていってはいけません」って先生に言われたっけ。

子供のハリネズミでこのざま。でも、明らかに今聞こえたのは大人の男せ…

「ね、アリス?」

再び男の声が背後で響く。

「…──っ!!!!!」

次の瞬間、亜里珠は力の限りダッシュしていた。
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