アリス人形
「待ちくたびれましたわ。」

見上げると、真紅のドレスを着た女性が階段をくだっているところだった。
輝く長い金髪を持つその女性は、顔の右半分を仮面で覆い、立派なティアラを頭にのせていた。紛れもない、彼女が女王だった。

シロウサギは早足で女王に近づき、背筋をピンとのばした。

「女王、困ります。あなたがさらった小さな少女はアリスじゃありません。アリスはこの子です!」

「え?じゃあ女王様が亜里香を!?」

亜里珠はキッと女王を睨み付けた。が、女王は眉間にしわをよせ、冷静に言い放った。

「お待ちなさい。私はそんなやばんな事、部下に命令しませんわ。」
< 25 / 163 >

この作品をシェア

pagetop