アリス人形
来た道を戻っていた亜里珠とシロウサギは、ある異変に悩まされた。

「なんで、さっきまであった森がないの!?」

「当たり前ですよ。森はよく引っ越すものです。」

シロウサギはそれだけ言うと、スタスタと歩き始めた。

「全然当たり前じゃない…。」

そこは赤い荒原。森があった場所だ。

「てか、当てはあるの?」

亜里珠は慣れないエプロンドレスを揺らし、早足でシロウサギの横に並んだ。

「いいえ。」

シロウサギは思いの外あっさりと答えた。
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