アリス人形
「えぇぇぇ…。」

亜里珠は愕然とした。知的そうな容姿のシロウサギに少しばかり期待をしていたからだ。
うなだれた亜里珠はしばらくして、あ。と声を上げた。

「そうだ。どうして森は引っ越すの?理由が分かれば場所が予想出来るかも!」

「……。」

無言のシロウサギに亜里珠は言葉を付け足した。

「“分かりやすく”説明出来ない?」

シロウサギはしばし考えた後、

「……例えば。」

差し指を立て、空を仰ぎながら話しだした。

「いくら好物でもそれを毎日、朝・昼・晩食べるのって飽きますよね?」

「うん。キツいね。」

「それと一緒です。いつも同じ土と水では飽きるので他の場所へ行くんです。」

「……。」

シロウサギの説明はなんとも分かりやすかったが、亜里珠は肩を落とした。

「土の味なんて…。つまり、森がどこに行ったのかを予想するのは難しいわけか…。」
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