アリス人形
「ばぁ。」

「きゃあぁぁあ!!」

目の前に突如女性の顔が浮かび上がり、アリスは驚きのあまり、甲高い悲鳴を上げてしまった。

「はい、情報屋登場ぉ☆」

「お前は…!」

震える声。それは帽子屋のものだった。みると、女性を指差して硬直している。

「チェシャ猫…ずいぶんとナイスバディーに育ったものだね…。」

冗談を交わしつつも、三日月ウサギは狂気の表情を崩さない。

「チェシャ猫って、あの黒猫?」

アリスは女性をまじまじと見た。

黒いハイヒールにすらっと長い足。黒のショートパンツとタンクトップに、長い手袋。それに引き立つ赤の首輪に…短い黒髪と猫耳。
思わず見惚れてしまった。

「さあ、行くよぉ。」

チェシャ猫はアリスの手を取り、にやりと笑った。
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