アリス人形




亜里珠は暗闇にいた。
何やらブツブツ呟いている。

亜里珠は小さな箱を抱えていた。鎖でぐるぐる巻きだった。

「ぉ……ぃ。ぉ…なぃ。おも…だした……い。おもいだしたくないおもいだしたくないおもいだしたくないおもいだしたくないおもいだしたくないおもいだしたくないおもいだしたくないおもいだしたくないおもいだしたくないおもいだしたくないおもいだしたくないおもいだしたくないオモイダシタクナイおもいだしたくないおもいだしたくないおもいだしたくない思い出したくない…!」

「お姉ちゃん。」

ふと、懐かしい声が聞こえた。亜里珠が前を見ると、そこには亜里香がいた。

「無理して、思い出さなくていいんだよ。」

にっこり笑う亜里香。亜里珠は静かに涙をこぼした。

「お姉ちゃんはアリスじゃない。アリスは……私だよ。」

「!!!!!?」
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