アリス人形
「この世界…や、夢が正解かぁ。もうかれこれ140年以上生き続けているんだよぉ。」

チェシャ猫はいつも通りにやりと笑った。

「夢が消えない限り、僕らは不老不死です。故に、死が羨ましい。初代帽子屋、公爵夫人等は“死”に魅入られて自ら“消滅”していきました。」

「!?」

シロウサギの口から出た真実は、あまりにも重かった。帽子屋は言う。

「初代帽子屋が死んだと同時に俺がこの夢に迷い込んだ。だからその時、バランスが崩れることはなかったんだ。でも、立て続けに…」

カナリヤが続ける。

「公爵夫人とその赤ちゃんが心中したんです。そのせいで夢のバランスが崩れ、三日月ウサギみたいに心に闇を持つ者が出てきたんです…。」


「…闇?」
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