アリス人形
扉の向こうは、なんとも不思議な空間だった。

小さな通路なのだが、天井、壁、床が全て白と黒の市松模様で統一されており、方向感覚がおかしくなりそうだった。

パタン。と、背後から扉が閉まる音が響く。

「帽子屋さん…。」

「なんだよ。」

「目、回りそう。」

「…我慢しろ。俺もだ。」

2人はそんな短い会話の後、慎重に前へと進みはじめた。

──コツ、コツ、コツ、コツ…









モゾッ…
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