アリス人形
亜里珠は帽子屋に覆いかぶさられるようにして倒れた。

「ハッ…帽子屋さん!」

亜里珠が帽子屋の身体から抜け出せずバタバタもがいていると、帽子屋がうっすらと目を開いた。

「ア、リス…大丈夫か?」

その声に、亜里珠の瞳からポロリと涙がこぼれた。

「私は大丈夫。ごめん、ごめん、なさい。」

帽子屋はそんな亜里珠にふっと笑いかけた。

「何泣いてんだよ。」

「だって……あれ?」

起き上がり、帽子屋が無傷なことに亜里珠は目を丸くした。

「見ろよ、救世主だ。」
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