アリス人形
「はぁ…危なかったぁ〜。アリス、もう少しで帽子屋に殺されるところだったよぉ〜!」

その言葉に、亜里珠は目を伏せた。

「…信じてたのに。」

ため息とともに出たその声は、すでに泣いているように感じた。

「仕方ないよ。帽子屋は人を惑わせる、そんな奴だから。はいっ、あ〜ん!」

少年は笑顔のまま、右手を亜里珠の口に近づけた。

「…?」

亜里珠が素直に口を開けると、甘い玉が舌を転がった。

「あっ…あめ?」

「うんっ!」

少年は元気よく返事をし、
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