アリス人形
「兄さん。」

暗闇に浮かぶ白い影。赤い瞳がキラリと輝く。

―…やあ、弟よ。―

白い影の視線の先には、深い闇に同じく赤い瞳。嘲笑うように細めたその目は、鈍く輝く。

「…また、闇が深くなりましたね。」

―ふっ…君は前より一層、自我が目醒めたようだね。さすがは―

「兄さんとは…門番だった頃とは違います!」

闇の言葉をさえぎり、白い影は声を張り上げる。

―そう?でもどう足掻いたって双子…ってことには変わりないだろう?―

「……。」

―……。―

「それでも、」

白い影はキッと闇をにらみつけた。

「それでも僕は、アリスがくる前に貴方を始末します!

         黒ウサギ!!」
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