アリス人形
また、にやつく。

「やっ…!!」

そう、間違いなくこの少年は、あの通路にいたハリネズミ。
ハリネズミはあのモノクロのトゲの塊を取り出し、羽織った。

(はやく逃げなきゃ…!)

亜里珠は、足を動かそうとし、全身に力を入れた。しかし、バランスを崩し、倒れてしまった。

「…へ?」

体にうまく力が入らないのだ。それだけではない。視界がみるみるぼやけ、体が痙攣しだした。

「ぁ……め、…れ…。」

(だめ、やられちゃう!)

そんな思いとは裏腹に、意識がだんだん遠退いていく。

(誰、か…助けてっ………。)
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