今日は学校休んで君のところに行くつもり





私の部屋の壁すべてを覆い隠すように貼られた数々のポスター。
天井にまで貼られたポスターを合わせたら、たぶん50枚はあるんじゃないかな。



見られるのはちょっと恥ずかしいけど、去川には今すぐに夢中になれるものを見つけて、心の中を愛でいっぱいにする必要があると思ったんだ。



去川は絵画でも観るように一枚一枚じっくりと観賞し、「へぇ。メタル好きとは意外だね」と言った。



そう、私はヘヴィメタルが大好きなのさ。
こんなにも心が熱くなるサウンドは他にない。



「11月3日にアルバムがリリースされるの。 それを聴くまでは私、絶対に死ねないっ!」



去川はCDラックから適当に一枚アルバムを取り出して、「試しにどんなものか聞いてっていい?」ときいた。



「爆音で聴いてみて。脳が揺れるよ。そうするとすごいんだから」
「ヘッドホン難聴になるよ」
「いいから一度やってみて」



その翌日から、去川は毎日私の家にやってきた。
毎朝決まって04:04に、『今日も学校休んで君のところに行くつもり』というメールがくるのだ。



私が学校に行く前に私の家にやってきて、私が学校から家に帰ると、ヘッドホンをあの形のいい頭につけて、少しだけヘドバンしていた。



いいじゃんいいじゃん、クールなとこあんじゃん。



部屋にあるヘヴィメタルのCD100枚ほどを去川が全て聞き終えたのは、彼がうちに来て5日目の夜だった。



そしてその夜、初めて去川は自分の家庭の話を打ち明けてくれた。




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