語彙力ゼロなアドレナリン女子は、ダウナーなイケボ男子をおとしたい
 結婚相手が決まっていることにも不満もあった。そもそも結婚制度にノーを突きつけたいくらいなのに、結婚前提な時点で不満がある。

 中学卒業時にグランマが、「そろそろ朱那に水樹家の話をするわね」と言って教えてくれた。

 グランパが数日前に亡くなっていたので、「そろそろ自分も寿命を迎えると思う」と祖母は言っていたのだ。
「日埜家と水樹家の婚姻なら、大体同じときに亡くなるわ」と祖母が言うのだった。

 大好きなグランマの話によれば、水樹家に生まれた女性は、日埜家に生まれた男性と結婚すると、命が削られないし、相手の命も削らない。そして自分の能力を十分に発揮できるというのだ。

 グランマは日埜家の治療院で働いていて、日埜家出身のグランパと結婚している。

「無難なケースに収めたわけよ」と祖母は自虐的に言っていたけれど、「良かったわ、好みの顔で」とも言っていた。
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