語彙力ゼロなアドレナリン女子は、ダウナーなイケボ男子をおとしたい
「好みの顔以外じゃ無理なのよ。無理ならば、間男かお妾さんが必要になるわ。身体が満足できないじゃない、子どもは養子縁組も可能だけれど」

 と、下世話な話をいとも面白げに話すグランマを見て、
「なんて家に生まれてしまったんだ!」
 と私は思う。

「顔が好みじゃなければ、どんなに愛していても、契れないのよ」
 とこの後に及んでマイルドないいぶりで教えてくれたけれど、もう遅い。

「要するに、挿入不可?」
 と言いなおしたら、グランマは、
「下品よ、朱那」
 と言ってたしなめつつ、大笑いしていた。

 いやいや、下品じゃん、グランマこそ、と思う。

 グランマは私の高校入学と同時に亡くなってしまった。水樹家のことが書かれているという書物をくれたけれど、崩し字ばかりで読めないのだ。

 そう、もしもグランマの話が本当ならば、藤馬との婚姻は無意味だ。政略結婚かつ、仮面夫婦前提の結婚なんて、私には意味がない。
 水樹家の力とやらも、私には興味がなかったからだ。
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