語彙力ゼロなアドレナリン女子は、ダウナーなイケボ男子をおとしたい
「どう思います?」
「常習犯、手慣れてるし」
 私は痛みをこらえながら答えた。

 やっぱり無理だ。どんな手順を踏むのかは、曖昧な知識しかないけれど、これじゃ、無理だと思う。ブラウスの中に手が入って来て触られた。

「したいんですか?」
 私が聞けば、「野暮です」と言われるのだ。脱がされるのは無理だ。
 自分で脱ぐので、その先を試してみてください、と言ってみる。

 次から次へと服を脱いでいく様子を見られているのが分かったので、「ほら、腹筋スゴイでしょ?」と言ってみた。毎日かかざすトレーニングしている腹筋だけは自慢なのだ。

「そこよりも」
 と視線が別の部分に動く。藤馬の頬が少し赤くなっているのが分かった。そういう素直な反応こそが恥ずかしいので、「サッサとチャレンジ」と私は声をかける。

 藤馬が及び腰になるのを感じた。きっと何の色気もイイ感じの雰囲気でもなく、こんな風に言われた経験がないのだろう。

「無理そうならやめましょ?その代わり結婚もなしです」
「それを今決めるんですか?」
「決めます」
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