語彙力ゼロなアドレナリン女子は、ダウナーなイケボ男子をおとしたい
「友達っすよ」
「けど、翡翠がこっちの学校受験するの諦めた時点で、縁は薄らいでんのはたしかですね」
「結果、彼女と遊んでるんで、いいんじゃないっすか」
 余生で、と口にしかけたのが分かったので、つい睨みつけてしまう。

「彼女に見えます?」
「彼女じゃないんすか?じゃ、俺たちと遊び行きます?」
「大歓迎ですけど」
 本音を言わずにヘラヘラと笑うのが我慢ならなくて、怒りを言葉に乗せてしまう。

「翡翠の彼女に見えたならラッキー。私、あんたらじゃ一生濡れないもん。やりまくれないし、挿入不可」
 翡翠を含めて、数名があんぐりと口を開いたのが分かった。ああ、これはワードセンスがダメだったパターンだ。

 分かるけれど、アドレナリンの奴隷となった私は暴走してしまうのだった。
「へらへら取り繕うくらいなら、言語って無意味。まず私と殴り合ってくれません?それに、翡翠は何も諦めてないですよ、私と子ども作ってまだまだ生きるから。こっちの学校も行くし、パパにもなるから」

「ヤバ」
 と呟く学生たちがさらに何か言いだす前に、翡翠が即座に私の手を引いて、
「悪い。コイツは、言語センスと妄想がホントヤバいから。そんじゃ」
 と連れ出してくれる。
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