財閥御曹司は、深窓令嬢に一途な恋情で愛し尽くしたい。
「奥様も美しいが、ご令嬢はとても可愛らしい。槻折様が大切に隠してしまうのも分かりますなぁ」
「ありがとう存じます。紹介遅れました、娘の愛百合です」
旦那様に紹介されて私は「初めまして」と言い、挨拶をする。
「愛百合さん。名前も可愛らしいなぁ……倅にはもったいない! なぁ、葵」
「そうですね、父さん。……申し遅れました、御子柴葵といいます。御子柴グループの中にある菓子メーカーの社長をしております」
御子柴様は、綺麗な顔で微笑まれた。きっとこの顔に落ちた女性は多いだろうなと思わせる表情をしていた。