財閥御曹司は、深窓令嬢に一途な恋情で愛し尽くしたい。
「あの、なんで挨拶を?」
「ここは、セキュリティーが厳しく管理している。ここの住人を把握し覚えている。だから見たことのない人がいればすぐにわかるようになってるから、ここの住人になる愛百合さんを紹介した」
「そうなんですね、ありがとうございます……」
エレベーターホールでエレベーターに乗り込むと御子紫さんは最上階のボタンを押した。
まさか、部屋って最上階?というか、引っ越しの準備をしている時、彼は部屋を買ったって言ってた気がするんだけど……
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
エレベーターから降りて目の前にあるドアから入る。間取りは、『3LDK +ウォークインクローゼット +シューズインクローク+納戸』となっている。中に入ると、約十一畳の居間と食堂がある。
高さは二メートル以上はある贅沢な天井高と同じくらいのサッシ高になっているから立体的なゆとりがあって開放感を生み出していた。
「すごいですね、窓からの景色もとっても綺麗です」
「よかった、気に入ってもらえて」
「はい、とても……キッチンは対面式なんですね。素敵です」
「あぁ、話をしながらできるのはいいかなと思ったんだ」
確かにお話をしながら料理できるのはいいかもしれない。
キッチンは作業しやすい広さだし、調理器具とまな板が並べられるくらいある。それに憧れていた食器洗い乾燥機もあるし、キッチン下には収納が充実していて調理器具などがたくさん入りそうだ。