財閥御曹司は、深窓令嬢に一途な恋情で愛し尽くしたい。
「私、手伝うことありますか?」
「疲れてるだろうし、大丈夫。座ってて」
「すみません、ありがとうございます」
私はお言葉に甘えてソファに座る。だけど、気になってジーっと見てしまう。蕎麦作るの初めて見た。料理はしていたからできるけど、できるって言ってもほとんど簡単なもので家庭料理。
少しだけこれからの生活が不安になった。
御子紫さんに呼ばれて私はキッチンに近いテーブルに座ると、テーブルにはお店のようなざるそばが二つ並んでいた。
「薬味はどうする? ネギもあるし、とろろも作ったんだよね」
「すごいですね、お店みたい」
「蕎麦だけだよ出来るのは。さ、どうする? わさびいる?」
私はわさびは食べられないのでそれ以外をもらった。椅子に座ると、蕎麦の香りがしていい匂いだ。