財閥御曹司は、深窓令嬢に一途な恋情で愛し尽くしたい。
「そうだ、愛百合さん。そろそろ、御子紫さんはやめない? 名前で呼んでほしい」
「え、名前で?」
「うん。名前。夫婦になるんだし、呼んでほしい」
「……わかりました。少し待ってください、あの心の準備が要ります」
葵さん、葵さん……うん、このまま言えばいいんだよね。よし、行ってみよう。
彼の目を見て合わせると、急に緊張してくる。練習通り、言おう。言えばいいんだ……深呼吸をして口を開いた。