財閥御曹司は、深窓令嬢に一途な恋情で愛し尽くしたい。
優斗が帰って数日後のこと。私は、旦那様と奥様からリビングに呼ばれて来ていた。
「お呼びでしょうか……旦那様、奥様」
リビングは、英国風アンティーク調の家具で揃えられていてモダンで優雅な空間だ。
「あぁ、愛百合。座りなさい」
「はい……失礼します」
彼らの座る向かい側にある黒色で艶やかな合成皮革と天然木のフレームがマッチした高級感漂うソファに恐る恐る座った。
「おい。愛百合にもお茶を淹れなさい。あと、焼き菓子も」
旦那様は私と同じような格好の使用人、たしか仁科さんに言うと「はい! 持ってまいります!」と言って出ていった。
奥様も「あなた、この子にお茶なんて……」と言っていたが、その言葉をスルーした。その上、とても上機嫌に微笑んでいる。
私もそれに驚き、目を丸くする。どうしてそんなに上機嫌なのだろう?それによって斜め前の奥様に睨まれているのに……地獄なんですけど。
早く、話始めてくれないかなぁと思っていると仁科さんがノックして入って来て言われた通り焼き菓子と紅茶が置かれた。