財閥御曹司は、深窓令嬢に一途な恋情で愛し尽くしたい。



「いらっしゃいませー」


 入ると、すぐに聞こえてきた可愛い声。それが愛百合ちゃんで、普通の挨拶なのにとても癒された。パンもとても美味しかった。

 彼女のことが忘れられなくて毎日通うようになり、彼女とも仲良くなってきた頃にパン屋が閉店した。彼女の母が亡くなったと聞き、彼女の行方がわからなくなった。

 近所の人からは、親戚に引き取られたらしいとかそういう声が聞いて名前しか知らない女の子を見つけることはできなかった。それから仕事の合間に彼女を探し、見つからず自分の地位を確立させ社長に就任となった頃に御子紫家の専属探偵事務所に依頼をした。

 探してもらったところ槻折家の養女となったことを知った。
 その後は、彼女に縁談を申し込む前にめんどくさい親戚連中を黙らせることに成功した俺は父に「槻折家のご令嬢と見合いがしたい」と願った――そして、今に至る。



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