財閥御曹司は、深窓令嬢に一途な恋情で愛し尽くしたい。



「君に縁談が来た」

「え、えんだん……」

「相手は旧財閥家御子柴(みこし)家の嫡男で次期総帥と言われている御子柴(あおい)くんだ」


 ――御子柴葵。誰もが知る旧財閥家の御曹司であり、御子柴家の経営しているひとつ御子柴菓子メーカーの社長でもある。
 それに昨年、英国騎士のサーという称号をいただいたとかでニュースになっていた気がするけど……そんな人が私に?


「あなた! そんな高貴な方へこの子を送るっていうの!?」

「あちらから、ご令嬢をと言われた。愛百合は、今、深窓の令嬢と呼ばれているから興味を持ったのだろう。それに、そのマカロンは彼からの贈り物だ」


 あぁ、それは聞いたな……養女とはいえ表に出ないから深窓の令嬢と呼ばれているらしい。これは、承諾してもらうためのエサか。


「愛百合、お見合いをこちらは受けた。御子柴との婚姻は、こちらも利があるからな」


 そして、旦那さまは閨閥結婚だと告げた。この家は、封建意識が色濃く残っていてきっと御子柴家もそうなんだろう……そのせいで訳ありな私と結婚だなんて可哀想だな。

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