財閥御曹司は、深窓令嬢に一途な恋情で愛し尽くしたい。
「わ、分かりました。お、お父様。お母様」
はぁ〜……息詰まりそうだ。
上機嫌なおじさんと汚いものを見るようにこちらを睨むおばさん。この地獄のような空間を一時間ほど耐え抜き、お店に到着した頃には疲れ切っていた。
門構えの前に立てば、立派な佇まいに圧倒される。その門を潜れば非日常感が漂い開放感が溢れている。
夜のためライトアップされていて緑がとても綺麗だ。玄関に到着すると、玄関横には有名な焼物師が手掛けた焼物が置かれていて高級旅館のようだった。
玄関先で履き物を脱いでから上がると、仲居さんがやってきて「槻折様、本日はありがとうございます」と丁寧にお辞儀をした。
「槻折様、改めまして私本日担当する朝井と申します。よろしくお願いします」
朝井さんは、お部屋に至るまでお手洗いの位置やお庭の説明をしてくれた。庭には大きな池があって大きな鯉が泳いでいる。お庭も池もライトアップがされており幻想的だ。