僕、先輩とキスがしたいです。
ちょうど通りかかった視聴覚室。

足を止めチラッ、と中を覗くとゆうちゃんがいた。

「あ!見て紗知。ゆうちゃんがいる」

「あー。ほんとだ。そういえば1年は5、6限、心肺蘇生の訓練だっけ?」

「へー」

心肺蘇生。

私も去年やったなー。

なんて懐かしみながらゆうちゃんを目で追っていると、どうやら横たわった人形に駆け寄る(呼びかけをする)所みたいだった。

「大丈夫ですか!?」

わー。なんか真剣な顔…。

そうだよね。ゆうちゃん成績も優秀だもんね。

真面目に授業を受けてる彼氏を自慢げに眺めていると隣で紗知が「うっとりしすぎー」と、からかってきた。

「だって普段あんな顔のゆうちゃん見れないんだもん!」

「あなたは119番!あなたはAEDを!」

ひゃー!お医者さんみたい!ゆうちゃんかっこいー!的確な指示出せて偉い!かっこいい!

「1、2、3…っ!!」

わぁー。心臓マッサージしてるー。

えー。なんか凄い!テキパキしてて凄いよ!ゆうちゃん!

なんてつい、ゆうちゃんの人助けに見入っていた私。

「意識なし……!」

やがてゆうちゃんは人形に顎クイ(気道確保)をした。
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