公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。
訪ねて来たのは
クレーナさんがウルスドお兄様と合流して出かけて行くのを見届けてから、私はダルギスさんとの土いじりを再開していた。
恐らく、二人はもう大丈夫だろう。きっと、ウルスドお兄様の中にあった憂いも、帰ってきた頃には完全に消え去っているはずだ。
「……ルネリアお嬢様、あれは」
「ダルギスさん? どうかしたんですか?」
そんなことを考えていると、ダルギスさんが少し驚いたような声で話しかけてきた。
私は、彼の見ている方を見てみる。すると、そこには見知った顔があった。
「サ、サガード様?」
「え? ルネリア? どうしてこんな所に……?」
それは、サガード様だった。公爵家の門の方から、この国の王子様が歩いて来ていたのだ。
彼は、庭の花壇にいる私に驚いている。しかし、驚きたいのはこちらの方だ。どうして、彼がこんな所にいるのだろうか。
「えっと……私は、ここで少し園芸をしているんですけど、サガード様こそどうしてこちらに? ラ、ラーデイン公爵家に何かご用事ですか?」
「あ、いや、その……」
私の質問に対して、サガード様は目をそらした。なんというか、彼は照れている。
この反応からして、何か恥ずかしがる理由で、彼はここに来たということだろう。もしかして、イルフェアお姉様に会いに来たとかだろうか。
「お前に、会いに来たんだよ」
「え? 私に?」
「ああ……せっかく、友達になったんだから、遊びに行くのもいいかもしれないと思ったんだ」
「友達……」
私は、サガード様と先日交わしたやり取りを思い出していた。
確か、私達はこれからよろしくと挨拶をしたはずだ。あれは、友達としてということだったようである。
つまり、彼は友達の元に遊びに来るのが恥ずかしかったということだろうか。そう思って、私は理解する。あの王城での出来事も、そういうことだったのかと。
彼は、同年代の友達がいなかった。それで、私に声をかけてきた。恐らく、そういうことなのだろう。
「事前に連絡もしなかったのは、悪かったと思っている。ただ、なんというか、そこまで気が回らなかったというか……」
「いえ、気になさらないでください」
私は思った。王子様という立場の彼は、きっと色々としがらみがあったのだろう。それで、友達ができなかったのかもしれない。
そんな彼の初めてできた友達、それが私なのだろう。それに彼は、とても喜んでいる。喜び過ぎて、ここまで来たくらいには。
「えっと……とりあえず、中に入りますか?」
「あ、そうだな……いいのか? それを続けなくて」
「ええ、大丈夫です」
私は、彼と一緒に遊ぼうと思った。これ程まで喜んでいる彼を無下にするなんてことはできない。
そもそも、私だって貴族になってから友達はいなかった。だから、そういう存在は大歓迎である。
相手は王子様だ。でも、今は同年代の友達と思うことにしよう。色々なしがらみは、ここでは無用である。
こうして、私はサガード様と友達として接することに決めたのだった。
恐らく、二人はもう大丈夫だろう。きっと、ウルスドお兄様の中にあった憂いも、帰ってきた頃には完全に消え去っているはずだ。
「……ルネリアお嬢様、あれは」
「ダルギスさん? どうかしたんですか?」
そんなことを考えていると、ダルギスさんが少し驚いたような声で話しかけてきた。
私は、彼の見ている方を見てみる。すると、そこには見知った顔があった。
「サ、サガード様?」
「え? ルネリア? どうしてこんな所に……?」
それは、サガード様だった。公爵家の門の方から、この国の王子様が歩いて来ていたのだ。
彼は、庭の花壇にいる私に驚いている。しかし、驚きたいのはこちらの方だ。どうして、彼がこんな所にいるのだろうか。
「えっと……私は、ここで少し園芸をしているんですけど、サガード様こそどうしてこちらに? ラ、ラーデイン公爵家に何かご用事ですか?」
「あ、いや、その……」
私の質問に対して、サガード様は目をそらした。なんというか、彼は照れている。
この反応からして、何か恥ずかしがる理由で、彼はここに来たということだろう。もしかして、イルフェアお姉様に会いに来たとかだろうか。
「お前に、会いに来たんだよ」
「え? 私に?」
「ああ……せっかく、友達になったんだから、遊びに行くのもいいかもしれないと思ったんだ」
「友達……」
私は、サガード様と先日交わしたやり取りを思い出していた。
確か、私達はこれからよろしくと挨拶をしたはずだ。あれは、友達としてということだったようである。
つまり、彼は友達の元に遊びに来るのが恥ずかしかったということだろうか。そう思って、私は理解する。あの王城での出来事も、そういうことだったのかと。
彼は、同年代の友達がいなかった。それで、私に声をかけてきた。恐らく、そういうことなのだろう。
「事前に連絡もしなかったのは、悪かったと思っている。ただ、なんというか、そこまで気が回らなかったというか……」
「いえ、気になさらないでください」
私は思った。王子様という立場の彼は、きっと色々としがらみがあったのだろう。それで、友達ができなかったのかもしれない。
そんな彼の初めてできた友達、それが私なのだろう。それに彼は、とても喜んでいる。喜び過ぎて、ここまで来たくらいには。
「えっと……とりあえず、中に入りますか?」
「あ、そうだな……いいのか? それを続けなくて」
「ええ、大丈夫です」
私は、彼と一緒に遊ぼうと思った。これ程まで喜んでいる彼を無下にするなんてことはできない。
そもそも、私だって貴族になってから友達はいなかった。だから、そういう存在は大歓迎である。
相手は王子様だ。でも、今は同年代の友達と思うことにしよう。色々なしがらみは、ここでは無用である。
こうして、私はサガード様と友達として接することに決めたのだった。