金髪くんの一途な愛
同じクラスの子ではないなーって思ってたら、
女の子は視線を私から侑真くんに移した。
「あの…黒夏の人ですよね?
あなたも1年生…?」
「そうですけど」
「そうかなって思いました」
女の子はニコッと侑真くんに笑顔を向けると
『前の車両に友達がいるから移動しますね』と人混みをかき分けながら違う車両へ移動していった。
「……お人形みたいにかわいい人だったねぇ…」
女の子がいなくなった方を見ながら呟くと
上から『そうか?』という声が降ってきた。
「俺は日菜の顔のほうが好きだけど」
「え、えぇ…?
そういうの嬉しいけど、
もし彼女がなーちゃんさんだったらどうするの?」
照れ隠しにそう言ったら、
侑真くんが『あ゛』ってまずそうな顔をした。
「あれがなーちゃんだったら…
まぁ、かわいいはかわいい」
「なにそれ〜!」
ふふ、と笑って誤魔化したけど、
侑真くんの『かわいい』の基準は『なーちゃんさん』か『そうでないか』なんだなって思ったら
侑真くんの中のなーちゃんさんが大きすぎて、ちょっと、自分が惨めだなと思ってしまった。