金髪くんの一途な愛


並んでる人たちの邪魔にならないようにしゃがみ、自販機の下に手を伸ばす女の子。

制服が汚れないように、膝をつかずにしゃがんだ状態だったから全然取れないみたいで…

ずっと退かない女の子を見て、並んでる人たちは鬱陶しそうな顔をしてるから

私は列を抜け、女の子のもとに歩み寄った。


「退いて」

「えっ…」

「立って、退いて」


女の子に退いてもらったら

私は制服が汚れることも気にせず、膝をついて体勢を低くして自販機の下に手を突っ込んだ。

素早く硬貨を拾って、並んでいた人に『邪魔してすいません』と一言いって、女の子にその拾った硬貨を渡した。


「はい」

「あ…っ、ありがとう!」

「いいえ」


私も内心、『早くして』と思ってたけど…

無視できなかったのは、さっきも見た、かわいい女の子だったから。


「あの…電車でも助けてくれましたよね」

「……あぁ…はい」

「また迷惑かけてすみません…っ」



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