金髪くんの一途な愛


「あの…侑真くん、だよね?」

「え、なんで俺のこと知ってんの?」

「わたしたち前に会ったことあるよ」


……なーちゃんさんの存在を、侑真くんに知られずに隠せるとは思ってなかった。

久留米さんが侑真くんに好意があることは、わかってたから。

だから……もう…


「……私!
今日、おつかい頼まれてたから、ここで降りる…!」


いつも降りる駅まではまだ遠いのに

ちょうど電車が駅に止まったので、見知らぬ駅で降りた。


「日菜…!?」


侑真くんの驚く声が聞こえたけど

今日は振り返らないで、電車が発車するまでずっと背を向けていた。


……ふたりきりになったら

侑真くんはきっと、久留米さんがなーちゃんさんだって気付いて、あの二人が両想いになるのかな。

もう私は用済み…。


「侑真くん……」

「なに」

「……え…?」


そこには私しかいないと思って呟いたのに

後ろから不機嫌そうな声がして振り返った。


「侑真…くん…なんで…」


なんで侑真くんも降りてるの!?



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