金髪くんの一途な愛



「ここ…?」

「あぁ」


初めて降りた駅だったのに

迷うことなくまっすぐ歩いてやってきたのは、古びた小さな公園だった。


ブランコも鉄棒も錆びていて、とても遊べるものじゃない。


「なんで、ここに来たかったの?」

「……幸せな思い出と、
苦い思い出がある場所なんだ」


そう言いながら公園を見つめる侑真くんは

いつだったか、電車でなーちゃんさんの話をしていたときと同じ顔をしていた。


……踏み込んではいけない、と思った。


「……あ、蓮華だ」

「……え?」

「隣の田んぼ、蓮華が咲いてる」


わずかではあるけど、

公園の隣で、ピンク色が小さく揺れていた。


「私、蓮華好きだなぁ」

「……あぁ…
前にくれた手紙、蓮華柄だったもんな」

「うん」

「なんで好きなの?」

「なんで……?」


……なんでだっけ?

べつに本で見たわけでも、近所に咲いてたわけでも、育ててたわけでもない。


「なんでだろ。わかんない」


どうして好きだったんだろう?


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