金髪くんの一途な愛


「……俺も」

「ん?」

「俺も好き。蓮華。
でも、好きになるまで、蓮華なんて見向きもしなかった」

「……じゃあ、なんで好きになったの?」


侑真くんに問いかけると

侑真くんの口角がわずかにあがった。


「あの子が笑ってくれたから」


咲いていた蓮華の花弁に触れる侑真くん。

その言葉を聞いて私は、『聞くんじゃなかった』と思った。


「そ…なんだ…」

「花屋にあるような派手な花じゃない。
田舎の田んぼに咲くような小さな花。
だけど…俺は一番この花が好き」

「へぇ……」


もうわかってる。

全部、なーちゃんさんに影響されたことでしょう?


「……前に紅茶を好きになった話、したことあったよな?」

「え、紅茶?」

「忘れてる?」


昔は嫌いだったけど好きになったって話だよね?


「いや、覚えてるけど…なんで今?」

「……同じだから。好きになった理由」

「え?」

「いや、ちょっと違うか。
『あの子が笑ってくれたから』じゃなくて、『あの子を笑わせたかったから』」


< 124 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop