金髪くんの一途な愛


『ねぇ、どこのようちえん?
なまえおしえて!』


この子とまた遊びたい。

そう思って女の子に名前を聞いた。


すると女の子は、ベンチに座って俺達を見守ってたあの怪しい人のことをチラッと見てから、視線を落とした。


『……パパといるときは、
なまえを言っちゃだめなの』

『えぇ?なんでだめなの?』

『だめって、パパとママに言われたの』


悲しそうに俯く女の子。

名前がわからなければ呼ぶのも不便だし、どうしたものかと考える。

その時、名前を呼ぶだけならあだ名でいいじゃんと思って。


『じゃあ、なまえのいちもじだけでいいからおしえて!』


変な名前をつけて嫌な気持ちにさせないように、1文字だけ教えてくれと頼んだ。

女の子は不安そうに父親の方を見ながら、

こっそり俺に、『な』と教えてくれた。


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