金髪くんの一途な愛
表の鍵を開け、待っていた男性に『どうぞ』と声をかけて中に入ってもらった。
「開店前なのに申し訳ない…」
「いや全然。
カウンターの方にでも座って、
よかったら話でもしますか?」
話し相手になったらバイト代が出るっていうから、お客さんにとりあえず提案してみる。
まぁでも、こんな金髪男に話したいことなんてないかと諦めていたけど
「本当かい?
ぜひ、話し相手になってほしいな」
男性はニコニコしながらそう言った。
……なんだろ、この感じ。
最初は警戒してるのに、あっという間に警戒を解く…
……日菜みたい。
この人、騙されないか心配だな。
今は一応営業時間じゃないから、カウンター越しではなく男性の隣に座った。
「……キミ、高校生だよね?
それ、黒夏の制服かな?」
「そうです。よく知ってますね。
……あ、着替えたほうがいいっすか?」
留守番だけなら着替えなくていいかと思ったけど、制服姿だと話しにくいか…?
「あーいや。そういうわけではなくて。
……黒夏には、キミみたいな金髪の男の子はたくさんいるのかい?」
「あー…そうですね。
先輩とかは、結構多いっす」