金髪くんの一途な愛
わかんないから、日菜を傷付けた。
偉そうに語れる男じゃなかったな、俺。
「……うち、実はちょっと、複雑でね」
「?」
「実は僕、昔俳優をやっててね」
「……俳優、さん…?」
「あ、キミは知らなそうだね。
この間、娘の友達には知られててびっくりしたけど、普通知らないよね」
「……すいません、疎くて…」
「いやいや、娘の年代の子には知られてないのが普通だと思うから。
それで、娘は僕がまだ芸能界にいた頃にできた子なんだ」
その娘さんって、芸能人の子どもってこと?
「じゃあ娘さん、学校では人気者だったんじゃないですか?」
「ううん。逆だよ。
僕は娘がいることを世間に隠していたからね。
娘は……誰にも心を開かなかった」
そう言いながら、男性は悲しそうな顔をした。
「親しくなったら僕の子どもだとバレてしまうかもしれない。
だから、娘は親しい友達をつくろうとしなかった」
「……それは…あなたも、娘さんもつらかったんじゃ…」
「……そうだね。僕はどう思われてもよかったが
僕は…娘につらい思いをさせてしまった。
娘は最初から友達をつくらなかったわけじゃない。
…心を閉ざしてしまったきっかけがあるんだ」