金髪くんの一途な愛


「きっかけ?」

「…娘が小さい頃、僕の仕事が忙しい時期で
僕は娘とあんまり会えなかったんだ。
たまに会う日には、娘のお願いを絶対に聞いてあげてた。

その会えた日に、娘が僕と散歩したいと言った日があってね。顔を出して娘と一緒に歩くわけにはいかなくて、絶対顔が見えないようにサングラスにマスクに帽子って、ガチガチに変装して娘と散歩に出たんだ」

「………え…?」


サングラスに、マスクに、帽子……

絶対に顔が見えないように…?


「あの、
その時ってこの辺りで散歩を…?」

「ここから少し離れたとこではあるけどね。
この付近ではあるね」

「……もしかしたら昔…見たことある、かも…」


それって…

なーちゃんのお父さんも同じ格好だった…


「あー…そうかもしれないね。
あまりにも怪しすぎたせいか、しばらく不審者情報が出てたらしいから」

「あー…」


そういえば、そんなこともあったかもしれない。

結局不審者はその後現れなかったみたいで、いつの間にかその話は消えてた気がする。

この人が…不審者だったってこと?


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