金髪くんの一途な愛
そう呟いた男性は、
俺の頭を見てふぅ、とため息を吐いた。
「そうなると、娘と仲が良い金髪の男は、やっぱりキミのことなんだな…」
「……すいません、こんな見た目で…」
「いや…僕もこんなに昔話をしてしまった。
キミには話してもいいと思ったからね。
……ちなみに、
キミは娘に、自分が『ゆーくん』であることを明かしたかい?」
「いや…言ってませんが…」
久留米さんから近付いてきたってことは、気付いてはいるはず。
「……実は…
娘は、その時のことを覚えてないんだ」
「………え?」
「正確には、『思い出さないようにしている』」
え…?
でも、久留米さんは知ってる様子だったけど…?
「な、なんで思い出さないようにしてるんですか?」
「……娘が一番傷付き、
一番誰かを傷付けた出来事だったからだ」
「……」
「さっきも言ったが、あの時娘は大泣きしたんだ。
声をあげて泣くことなんてなかった娘が。
あんな泣き方をする娘を見たのは、あの時だけだった。
だから僕も妻も、もう二度と娘にそんな思いはさせたくないと…そう思って、娘の恋は応援したいと思ってるんだよ」