金髪くんの一途な愛


タオルと教えてくれたお礼が言いたくて、金髪の男の子を探す。

辺りを見回してみると、急に私の前に人が来て、視界が塞がれてしまった。

……でも、見つけても動けないし、車内ではおとなしくしておこう。

そう思って、どこか掴まれるところがないかと探していたら。


「俺にもたれていいよ」

「…えっ?」


目の前にいたのは、探していた金髪の男の子。

どうやらさっき私の視界を遮ったのはこの人だったらしい。


「あ…おはようございます」

「おはよう」


とりあえず挨拶。


「吊り革届かないだろ?
俺が掴まっとくから、キミは俺に掴まったら?」

「え…でも…」


思いっきりぶつかったり体重かけたりしそうで…ちょっと不安なのだが…?


「俺はこうして両手で掴まってますのでー」


言った通り、両手で上の棒に掴まってる。

そんな……両手で掴まなくても。

片手で十分では?と思ってたら、男の子は苦笑いして


「両手で掴んどけば痴漢扱いされないよな?」


よっぽど昨日の出来事がトラウマだったのか、不安そうな顔でそう言った。


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