金髪くんの一途な愛


「…そういえば、美宙に聞いたが(本当は自分で知ったが)
この間美宙が言ってた金髪の男って、黒夏の人だろう?
お父さんにその彼でも紹介するつもりかい?」

「え、違うけど。
いや……黒夏の人なのはそうなんだけど…」


今はもう付き合ってもいなければ、仲良くもない。

お父さんに紹介なんて。……できたらよかったのにね。


「その金髪の人は、もう関係ない…から…」

「……なにか言われたのかい?その彼に」

「ううん。
………私が、彼ともう関わらないようにするって決めたの。
学園祭はただ、お父さんにも楽しんでもらいたくて誘ってるだけだよ」


ソファーに座るお父さんの横に腰を下ろすと

お父さんはリビングのテーブルに置いてあったお父さんが仕事で使う書類の山から

ピンク色のリボンがついた、ボロボロで色褪せた栞を取り出した。


「日菜。これを」

「?」

「……見ても、なにも思い出さないか?」


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