金髪くんの一途な愛
「大事にしてたよ。
日菜、思い出すんだ」
この間、夢で見た。
あの、大泣きしていた小さな私。
そう、そんなことがあったの。それは覚えてるの。
でもどうして泣いてた…?
「思い出すべきじゃないと思ってた。
だけど…今の日菜は笑っててもつらそうで見てられない」
「今私がつらいのと過去は関係ない…」
「関係あるよ。
日菜、おまえが大好きだった人は誰?
一番悲しかったことはなんだ?」
「……知ら、ない…」
大好きだったのはお父さん。
そのお父さんと一緒にいたくて…
いつだったか、お父さんと手を繋いで歩いた。
それで……
『行っておいで』
お父さんが、そう言って私の背中を押した。
その先に、小さな男の子の背中があって…。
「日菜」
お父さんの呼ぶ声とともに
私に向けて差し出された、蓮華の花の栞。
その時
『なーちゃん、明日もまたあそぼ』
同じように、誰かに蓮華の花を差し出されるビジョンが頭に浮かんだ。