金髪くんの一途な愛
「侑真くんが聞き上手な店員さんでよかった」
「なに、急に」
「やっぱり私が好きになった人だなーって」
一つでも歯車が違えば、きっとこうならなかった。
侑真くんが人の話を聞かない冷たい人間だったら、今もまだすれ違ったままだったかもしれないし、私は侑真くんを好きになってなかったかもしれない。
お父さんがいなかったら、ゆーくんにも出会えてなかったかもしれないし、侑真くんとももう会えてなかったかもしれない。
遠回りしたけど
いらなかったものなんて、なにもないんだ。
へへ、と笑ったら
侑真くんは私をじっと見つめてきた。
「……侑真くん、どうかした?
私の顔になんかついてる?」
「いや…ううん。
やっぱその笑顔、変わってないなと思って」
「え?」
「別れ際のときは悲しそうだったけど、
無理に作った笑顔が、小さい頃の笑った顔に似てた。
けどやっぱり、悲しい顔は似合わないな。
日菜は笑った顔が一番かわいいわ」