金髪くんの一途な愛
「……そ、そうなんだ…」
なんか、深くツッコんではいけないような…?
「その子の本当の名前も知らないんだ」
そう言う佐々木くんは、悲しそうな顔をしてる。
……うーん、もしかしてこれ…
……結構拗らせちゃってる系?
「……会えるといいね」
返答に困って、とりあえずそう言ってニコッと笑って誤魔化す。
佐々木くんも私が困ってるのを察したのか、『おー』と返してそれ以上は何も言わなかった。
「お、そろそろ着くな」
電車がスピードを落とした時、佐々木くんが呟いた。
結局、佐々木くんにもたれずに1人踏ん張っていた私。
『もたれていいよ』
そうは言われたけど、
『心に決めた人』じゃないからやっぱりできないと思った。
だって普通にやってたら、ドキドキするぞ。
距離の詰め方バグってんだ、この人。
『好きにならないでね』なんてよく言うよ。自分が思わせぶりなことしてるくせにね。
「鈴原、せっかくだから学校まで一緒に行くか」
「……あー…そういうとこ」
「ん?何?」
これからどれだけの間、佐々木くんと関わるのかわからないけど…
『好きにならない』自信が、少しずつなくなっていく気がした。