金髪くんの一途な愛
私が怪訝そうな顔をしたからか、英二さんに『あ、日菜ちゃんは悪くないよ』とフォローされた。
「侑真から女の子に『なーちゃん』のこと言うなんて珍しいなと思って」
「いや、名前は言ってねぇよ」
「なーちゃん…?」
その響き…なんか……
……いや、まぁ普通に誰にでもつけるか。小学校の時にそう呼ばれてた子がいたような…いなかったような…。
「いいだろそれは。
あんまベラベラ喋んな」
「おーごめんごめん」
全然反省してない返事をする英二さんだけど…
佐々木くん、相当怒ってない…?
「あの…
ごめんね、佐々木くん…」
立ち止まって佐々木くんに謝る。
きっと知られたくなかったはずだ。
私の意思じゃないとはいえ、私に知られるなんて佐々木くんは嫌だと思う。本当に申し訳ない…。
「なんで鈴原が謝んの?
100パー英二が悪いから」
「だからごめんって」
「お喋りすぎるとこは本当に反省すべき」
佐々木くんが英二さんの頭を叩く。
そんな二人をまだ立ち止まったまま見ていたら
「鈴原ー。歩かないと遅刻するよ」
私には優しい声で、佐々木くんは言った。
「あ、うん!」
ブチギレ寸前だと思ったけど、怒ってないみたいで安心して、佐々木くんたちに追いついた。