金髪くんの一途な愛
*
なんとか遅刻せずに学校に着き、
席に座ると隣に人が立つ気配が。
「おはよ、日菜」
「みくる、おはよ」
席が前後で、入学式のときに友だちになった杉原みくる。
髪は短くてボーイッシュで、クールな瞳が印象的なかっこいい女の子。
「なんか顔色悪くない?」
「うん…満員電車で酔っちゃって」
「あー。慣れてないとキツイよね」
「すぐ慣れればいいんだけど…」
あの押しつぶされる感じ…そこに、普段なら気にしない他人の匂いが相まって…思い出すだけで気持ち悪くなってきた…。
「慣れる未来が見えない…」
「大丈夫か?
電車通学やめたほうがいいんじゃない?
日菜の親、自宅で仕事してるんでしょ?
親に送迎頼むとか…」
「さすがにそんな迷惑はかけれないよ」
もう電車の定期も買っちゃったし…
お父さんたちの手間を増やすわけには…。
「……けど、無理すんなよ?」
「うん。
今日はね、親切な人がいてくれたから助かった」
「そ、よかったじゃん。
毎日そういうことあればいいのにね」