金髪くんの一途な愛


佐々木くんは

最初に私に声をかけてくれたとき

心配そうな顔をしてたけど、声はぶっきらぼうだった。


痴漢だと騒がれた時

女の人相手には、結構冷たい声だった。


だから喋るのは苦手なのかと思ったけど

そうでもなくて、むしろ話題はつきない方で。


話してみたら、本当は優しい人なんだって、よくわかる。


……それなのに

彼に“恋”だけはしちゃいけないっていう、でっかいハードル用意しちゃってるのが、ちょっと厄介ではある。

近付きすぎたらいけないって、一歩ひいておかないと。

……肝が据わっているというよりは、浅い関係でいようとしてるのかも。


頬杖をついてため息を吐いたら、

みくるに頬をぷにゅ、って押された。


「…どしたの?」

「憂いを帯びたため息だったから、
さっきの金髪くんに惚れてんのかと思って」

「惚れたら無謀。無意味。惨め。マイナスなことしかないから絶対惚れないし。
仮に惚れてたらなんで頬押してくるの」

「え、ぽっと出男子に取られて悔しいから、
構ってちゃん」

「かわいいかよ」


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