金髪くんの一途な愛
友達をつくることができなくても、
お父さんと仲良いところを誰にも見せられなくても
お父さんに大切にされてることはわかったから、お父さんを嫌いにはなれなかった。
「蓮司さんは、日菜のこと大好きなんですね」
「もちろん。
たくさん苦労はさせてしまったけどね…」
「あたしはまだ、日菜と出会って日は浅いですけど、
日菜はいい子だと思ってます。
大変な思いをしたかもしれないけど、
蓮司さんの愛情があったから、捻くれずに育ったんだと思います」
「みくる…」
「これからはあたしも日菜に愛情注ぐんで!
蓮司さん、独占しないでくださいね」
みくるがお父さんに言うと、
お父さんは嬉しそうに、だけど少し寂しそうに笑った。
「ありがとう、みくるちゃん」
お父さんの笑顔に、みくるも笑顔で返す。
その後お父さんのスマホが着信を知らせた。
「……あ、仕事の電話。
じゃあ僕は帰るから、2人ともゆっくりしていきな?
日菜、暗くなる前に帰ってくるんだよ?」
テーブルに一万円札を置いて店を出ていくお父さん。
残された私とみくるは、『多すぎない?』と笑った。