金髪くんの一途な愛
「でさ、俺も結構UFOキャッチャー上手くなってー」
電車に乗って、抱えてたうさぎのぬいぐるみを自慢する佐々木くん。
「……佐々木くんそれ、
英二さんみたいに、なーちゃんさんにあげるの?」
失礼なことを言うと、かわいいうさぎのぬいぐるみはどうにも佐々木くんには似合わない。
「えっ、全然そんなんじゃないよ。
なーちゃんにはそんな、簡単に会えると思ってねーし。
それに、もしかしたらもう会ってるのに、俺が気付いてないのかもしれないし。
……探してるけど、ぶっちゃけ手がかり0ってか、んな都合よく会えるなんて思ってないから」
窓の外に目を向ける佐々木くんは、なーちゃんさんを思い浮かべてるのか、どこか遠いとこを見ている気がして
やっぱりこの人の中で、そのなーちゃんさんは簡単には消えない、特別な人なんだろうと思った。
「それと、このぬいぐるみはなーちゃんにあげるために取ったんじゃないから」
「え、まさか自分用?」
佐々木くんがうさぎのぬいぐるみが欲しかったなんて信じられなくて、うっかり口に出してしまった。
もし自分用だったら、めちゃくちゃ失礼だったかもしれない。
手で口を抑えたら
その手の上から、まるでキスをするように、ぬいぐるみの口が触れた。