金髪くんの一途な愛



翌朝。


昨日と同じ時間の電車に乗ったら、目立つ金髪を見つけた。


「佐々木くん」

「鈴原。おはよ」

「おはよう」


邪魔にならないよう、カバンを前で抱えながら佐々木くんの前に移動した。


「あ、佐々木くん、今日はタオル持ってきた」


『電車おりたら渡すね』と言ったら、

佐々木くんが私のカバンに顔を近づけてきた。


「菓子?
なんか、イイ匂いする」

「あ、うん。
ぬいぐるみのお礼も兼ねて…」

「え、手作り?」

「……ではないんだけど、
お父さんが会社の人からもらったもので…
結構高いやつだから美味しいと思う」


『結構高いやつ』って。いやらしい言い方だったかな…。


「そうなの?
え、いいの?俺がそれもらっちゃって」

「うん。
佐々木くん、焼き菓子とか嫌いじゃない?」

「うん。普通に好き」


……『普通に好き』。


「佐々木くん、好きな食べ物とかある?」

「えー?
うーん…急に言われると困る」

「あ、だ、だよね…」


知りたいとは言ったものの

佐々木くん、ガード固いよなぁ…。いや、話題の振り方が下手なのか…?


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