金髪くんの一途な愛
やっぱり鈴原って変なやつ。
一番下の『鈴原より』と書かれた文字を、親指で撫でた。
「……鈴原」
俺がそう呼ぶから書いたのだろうか。
俺が『日菜』と呼んでいたら、『日菜より』と書いたのだろうか。
そう思ったら、少し…『日菜』と呼んでみたいかもしれない。
……って、それは俺が自分で断ったんだった。
自己中かよ、と自分に嫌悪してると
『鈴原より』という文字に被った、便箋の柄が気になった。
「蓮華…」
黄緑色の便箋に映える、ピンク色の蓮華柄。
……いや、たまたまそんな便箋があっただけか。
意味なんて、全然ないはずなのに。
こうやって、なんでもないことをすぐ昔のことに繋げてしまう。
……『なーちゃん』との思い出の花。
そんなの、鈴原は知ったこっちゃねーのにな。