金髪くんの一途な愛


やっぱり鈴原って変なやつ。

一番下の『鈴原より』と書かれた文字を、親指で撫でた。


「……鈴原」


俺がそう呼ぶから書いたのだろうか。

俺が『日菜』と呼んでいたら、『日菜より』と書いたのだろうか。

そう思ったら、少し…『日菜』と呼んでみたいかもしれない。


……って、それは俺が自分で断ったんだった。

自己中かよ、と自分に嫌悪してると

『鈴原より』という文字に被った、便箋の柄が気になった。


蓮華(れんげ)…」


黄緑色の便箋に映える、ピンク色の蓮華柄。


……いや、たまたまそんな便箋があっただけか。

意味なんて、全然ないはずなのに。

こうやって、なんでもないことをすぐ昔のことに繋げてしまう。


……『なーちゃん』との思い出の花。

そんなの、鈴原は知ったこっちゃねーのにな。


< 61 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop