金髪くんの一途な愛


私が幼稚園児の頃、美宙くんは中学生だったかな。

美宙くんは、お父さんの事務所の社長さん以外で唯一お母さんや私の存在を知っていた人。

美宙くんはお父さんに懐いてたから、お父さんの娘である私のことも可愛がってくれたってお母さんが言ってた。

だからいっぱい遊んでくれたことも覚えてる。

他に心を許せる友達もいなかったから、美宙くんが一緒に遊んでくれることが嬉しかったな。


「……そっか」

「…佐々木くん?」


私が美宙くんと親しいと言ったら、佐々木くんの顔が曇る。

どことなく空気が重くなったのを感じたのか、美宙くんは『あ!』とこれまたデカい声で言った。


「せっかくの友達との時間邪魔しちゃ悪いよね!
おれ帰るわ!
蓮司さんにもよろしく伝えといて」


『じゃ!』と返事も待たずに背を向けた美宙くんは、

近くに停めてあったバイクに跨って颯爽と去っていった。


……お父さんといい美宙くんといい、学校まで来るのはやめてほしい。

もう自由にしていいって言われてるはずなのに、監視されてるみたいで嫌だな。


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